2011/04/20

「上を向いて歩こう」


   4月18日、東京に出張する。3.11以降では初めて関東圏を訪れることとなる。余震活動が終息しない中、新幹線の遅れや運転見合せを気にしなければならないなど多少の不安は拭えない。花見などの自粛ムードや、一時期の計画停電による経済活動の停滞で「華の都、大東京」が元気がないなどと殊更に報道されている。実際のところどうなんだろうと、富士山を横目で眺めながら首都圏に入る。
 

   今では都市伝説になった「曲がった東京タワーの先端」、新幹線から注視してもよくわからない。言われてみれば曲がっているのかな…。そして東京駅構内は、照明やエスカレーターは輪番体制で節電中ではあるが震災後というバイアスを掛けたとしても、そこには普段通りの慌ただしい日常が繰り広げられていた。

   少し時間が空いたので、お約束である「お茶の水の日本サッカーミュージアム」に足を運ぼうと思い立つが、今日は月曜日で休館。(その前に震災の影響で現在閉館中!、4月23日から再開の予定)
   それならばと、浅草方面へ移動。先ごろ「634m」に到達した「東京スカイツリー」を間近で見ることにした。
 

   東京メトロ「浅草駅」を吾妻橋あづまばし方面出口から地上に顔を出すと、漫然とそれ・・は現れた。景観にマッチしているかどうかは意見の分かれる所であるが圧倒的な存在感であることは間違えない。「技術立国」日本の底力を見た気がする。
 



 そして月曜日の昼下がり、ここ浅草や墨田公園を訪れる人々は一様に「上」を見上げる。それは決して「泪がこぼれないように」だけではなく「幸せを空の上に」見つけようとしているのだろうと思う。


   YouTubeにupした映像には穏やかにハトが横切る。
 

   いつまでも塞ぎ込むことなく、あるタイミングからはなるべく普段通りに戻そう。滞りなく仕事を終えて別段のトラブルもなく「N700」経由で雨の岐阜に戻ってきた。

2011/04/01

PROJECT NAGAI vol.3

   3月29日午後6時を過ぎて、辺りが十分暗くなってから、いつもより少し遅めにようやく照明に火が入った。

立錐の余地もないスタジアムに両チームのイレブンがウォーミングアップに登場。必然的のプラクティスジャージーも同一のアディダス製。

   Jリーグ選抜ゴール裏は多彩なカラーのユニフォームが犇めく。

   そして、選手紹介。選出された選手が次々とオーロラヴィジョンに映し出される。



   午後7時15分、日の丸のもと選手入場。

   国歌・黙祷・チームキャプテンの挨拶、そして歴史的一戦のキックオフを告げる笛が鳴る。

   これ以降、ゲーム中の写真は一切無い。感じた全てを自分の目に焼きつけることにした。

   遠藤#7のフリーキックも、岡崎#9のループシュートも目の当たりにした。
ハーフタイムでのウェーブも自嘲気味に参加した。
両ゴール裏からの「ピクシー!オーレ!」に手を挙げて答えるピクシー。
何もかも夢のような時間の中で過ぎた。

   そして後半37分が訪れる。
カズ#11のゴールにスタジアム全体が、おそらく日本全体が一つになった。またしても、サッカーがひとつのスポーツ競技を超越し、人々の心に響く崇高な慈善のイベントに昇叙した瞬間である。求められたゴールを決める事が一番難しいと言う、カズ(永遠の#11)はやはりキングカズであった。

結局、今日の3ゴールは全てJリーグ選抜サイドに納まり、それを間近で観れたことは僥倖である。

しかし、その後に我々の目前で繰り広げられたはずの「渾身のカズダンス!」は客席全体が飛び跳ねていたので、生で目撃する事が出来なかった。今日唯一の誤算である。

こうして、公式記録には残らない歴史的なゲームは感動のうちにタイムアップとなった。

   リザルトは以下の通り。

   これで「PROJECT NAGAI」の最後のミッションである、ゲームを心から堪能することは見事に完遂した。 そしてまた、カズがゲーム後のインタヴューで答えたように、これは始まりであり継続して支援活動を行わなければならないと思う。数か月、数年のスパンで事あるごとに支援が必要である。

   今回の震災による試練は、たまたま自分の地域で発生したかっただけのことで、いつ当事者になってもおかしくない。その事を肝に銘じ、決して驕ることなく、決して気負うこともなく、日々慎ましく誠実に生きようと思う。

   3月29日はサッカーファミリーの一員で良かったと強烈に印象付けられた忘れられない一日となった。

   がんばろうニッポン!みんなのチカラがひとつになって。


                                  「PROJECT NAGAI」 《完》

2011/03/29

PROJECT NAGAI vol.2

   3月29日早朝、肌寒いが穏やかな天候に恵まれた。岐阜も、それから大阪の地も。「PROJECT NAGAI」いよいよ当日となった。

「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」参戦の為、大阪長居スタジアムに向かう。正午には現地到着の予定で午前8時前に岐阜を出発した。


   普通の「日常」を通過して予定通りに長居スタジアムに到着した。そこは既に、この一大イベントの準備が粛々と進められていた。

   近接する「キンチョウスタジアム」でもパブリックヴューイングが行われる、既に行列ができていた。

   最初のミッションは義援金となる「日本代表 復興支援レプリカジャージー」を購入し、チャリティーに寄与。1時間余の行列に並んでようやくにも手に入れた。その後、スタジアム周辺を散策する。それぞれの思いで集結した「日本代表」のサポーター、「Jリーグ選抜」のサポーターが手書きのメッセージボードなどの作成に余念がない。それは紛れもなく、共通して『ニッポン』のサポーターの姿であった。

   午後4時20分の入場時間(多少は前倒しになるだろう)までサブグランドの奥まで伸びた列で待つ。隣に並んだ滋賀県から駆け付けたサポーターに聞くと、こんな時期に自分たちだけこんな素晴らしいゲームを観戦していていいのだろうか。でも観たい気持ちは抑えきれなかった、と。同感である。

   臨戦態勢を整えていざスタジアムへ向かう。

   長居スタジアム南側ゴール裏からの一望。

   悲しすぎる半旗が風に揺れていた。

   懐かしい名前がここにも届いている。

   若いチカラも集結してこのイベントを盛り上げてくれているのだろう。

   そしてサポーターが仰ぎ見る「世紀のチャリティーマッチ」は刻一刻とそのキックオフの時間が近づいている。

  

                                           つづく。

2011/03/27

「両白山地」を越えて

   FC岐阜のトレーニングマッチ、今週はアウェイでカターレ富山戦。当日は東北地方太平洋沖地震の復興支援ならびにニュージーランド地震の支援募金活動も実施される。本来ならリーグ戦で遠征する予定であったが、こういう時なので急遽遠征を決定した。岐阜と富山の県境「両白山地」を越えて今シーズン初のアウェイ戦に出発した。



   当初、高速で2時間30分余り、午前9時に岐阜を出発すれば余裕で現地の「富山県総合運動公園陸上競技場」に正午までに到着の予定をしていた。岐阜と富山市内の天気予報で晴天であることを確認したが、途中の県境周辺の状況を確認しなかった。この時期、白川郷周辺はまだ冬が終わっていたかったことが誤算だった。車の冬装備を解除したため、念のためチェーン規制を回避して一般道を経由して富山入り。


   午後1時20分過ぎに「富山県総合運動公園陸上競技場」に到着した。現地も2月並みの気温で寒さが募る。


   全てのクラブが同じ気持ちに支援活動を行っている。360°一周できるスタジアムはなかなかの景観である。日本海側の天気も穏やかに、東日本を思う。


   さて今日のFC岐阜、練習試合なので結果にこだわるべきではないが、オフェンスの手数がまだまだ少ない。こんな時だからといってホームの富山に花を持たせなくても…。Jリーグの再開時期も決定した今、それまでの時間を更なるレベルアップと有意義な調整の期間に充ててもらいたいところ。


   2セット目は得点シーンが多く面白いゲームだった。魅せるサッカー、ゴールシーンに一喜一憂するサッカーがやはり楽しい。これも最近忘れられてしまったもののひとつ。


   一応のリザルトは以下の通り。電光掲示板は省エネモードで。


   こうして富山はまた来たいスタジアムの一つとなった。今度は真剣勝負で、そして何より温暖な季節に。

2011/03/25

PROJECT NAGAI vol.1


   3月29日「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」日本代表vsJリーグ選抜(TEAM AS ONE)が大阪長居スタジアムで行われる。もともとこの日は国立での国際Aマッチ(vsニュージーランド代表)の予定であったが、今震災の影響(ニュージーランドも自国の地震発生より当初の来日が危ぶまれていた。)で急遽チャリティーマッチに差し替えられた。

   実は国立でのゲームはU-22日本代表の国際親善試合(vsU-22ウズベキスタン代表)もマッチアップされていたので、1日で2試合の代表戦が観られるオイシイ日程だったのだ。なんとか仕事の都合がつきそうだったのでチケットを取れないかと調べたが、とき既に遅く完売となっていた。

   そのリベンジという訳ではないが、このチャリティーマッチを観戦できないかと大阪長居スタジアムへの参戦計画すなわち「PROJECT NAGAI」を計画し始動させた。そしてまずは、3月23日午前10時発売開始のチケット購入にチャレンジ。
以下に時系列でその詳細をレポートする。

(9:52)
仕事の休憩時間を利用して、一番近いローソンへ向かう。「Loppi」での購入を狙っているがこの時点で先客があるようなら諦めなければならない。
(9:56)
ローソン到着。「Loppi」は空いていた。まずはLコードから入力し様子をみる。まだ発売開始前のメッセージ。
(9:58)
後ろに人が並んだ。やはり目的は同じチケット狙いとの事。
(9:59)
「Loppi」端末にLコードを入力し画面を進め、ひとつ前の画面で待機(実行待ち)。
(10:00)
CITIZENの電波時計で10時ジャストに実行操作。…発売開始前のメッセージ。再度実行…発売開始前のメッセージのまま。
とっさに、ひとつ前の画面に戻って再操作を行いチケット選択画面に入れた!
※この時点で約20秒のロスとなってしまった。

最初にカテゴリー1を選択、数秒の「通信中」の表示の後、「回線が混雑、しばらく待ってから…」のメッセージ。
再度実行、数秒の「通信中」の表示の後…、
 

(10:01)
僅か1分足らずで、カテゴリー1が完売。
すかさずカテゴリー2を選択し実行。永遠にも思える「通信中」の表示の後、カテゴリー2も完売のメッセージ!
(10:02)
諦めずにカテゴリー3の北側(日本代表サイド)を選択。しかし、同じ結果を突き付けられた。
ダメモトでカテゴリー3の南側(Jリーグ選抜サイド)を選択。…今までより長い「通信中」…。
(10:03)
そして遂に購入完了の表示!!

手に汗握る3分間の攻防はこうして完結した。
後ろに並んでいた人も、携帯電話で他の場所の仲間と連絡しつつ、他所で購入できたらしくそそくさとローソンを後にした。

こうして、サッカーファンならずとも注目するチャリティーマッチのプレミアム・プラチナ・プライスレスチケットは、今枕元に鎮座している。
 

   こんな時だからこそ、決して浮かれることなく、現時点での日本代表の最高峰のパフォーマンスをこの目に焼きつけておこうと思う。その最高のプレイが少しでも多くの人々の心を元気にしてくれればと祈りながら。
   そしてまた、JFAジェイファとJリーグによる日本のサッカー界の、今震災に対する復興支援活動を肌で体感し、自分の立ち位置を確認しながら、微力ながら協力をしようと考える。そしてもちろんサッカーを楽しむことを忘れてはならない。

みんなのチカラがひとつになって、がんばろう日本!

 つづく。