思いのほか好天に恵まれた岐阜市内某所の朝。
遮光レンズのゆらぎの中、午前7時31分「太陽のリング」は見事に繋る…。
今回の日食は、見掛け上の太陽の大きさより、月の大きさの方が小さい為、太陽が完全に隠される、いわゆる『皆既日食』では無く、リング状に太陽の輪郭が残る、『金環日食』である。
日食としては、『皆既日食』の方が気象条件など、劇的に変化するので、よりドラマティックで見応えがあるのだが、『金環日食』はそのリングが殊更に強調される。
言うまでもなく、これは月が楕円軌道を描く為に生じる違いであり、「時」と「場合」によって異なる。
実は、月は1年間に4センチづつ地球から遠ざかっていると言われている。と言うことは、今から5万年後は『皆既日食』は観測できないかもしれないし、或いは5万年前には『金環日食』は見えなかったかもしれない。
つまり、私達はその両方が観測できる、極めて稀有な時代に生きていることを感謝しなければならないのである。
そんな悠久の時の流れに想いを馳せていると、繋がれたリングは程なく解放された。こうして食の最大時には、いつもより柔かな陽光が降り注ぐ、穏やかな朝となった。
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