3月29日午後6時を過ぎて、辺りが十分暗くなってから、いつもより少し遅めにようやく照明に火が入った。
立錐の余地もないスタジアムに両チームのイレブンがウォーミングアップに登場。必然的のプラクティスジャージーも同一のアディダス製。
Jリーグ選抜ゴール裏は多彩なカラーのユニフォームが犇めく。
そして、選手紹介。選出された選手が次々とオーロラヴィジョンに映し出される。
午後7時15分、日の丸のもと選手入場。
国歌・黙祷・チームキャプテンの挨拶、そして歴史的一戦のキックオフを告げる笛が鳴る。
これ以降、ゲーム中の写真は一切無い。感じた全てを自分の目に焼きつけることにした。
遠藤#7のフリーキックも、岡崎#9のループシュートも目の当たりにした。
ハーフタイムでのウェーブも自嘲気味に参加した。
両ゴール裏からの「ピクシー!オーレ!」に手を挙げて答えるピクシー。
何もかも夢のような時間の中で過ぎた。
そして後半37分が訪れる。
カズ#11のゴールにスタジアム全体が、おそらく日本全体が一つになった。またしても、サッカーがひとつのスポーツ競技を超越し、人々の心に響く崇高な慈善のイベントに昇叙した瞬間である。求められたゴールを決める事が一番難しいと言う、カズ(永遠の#11)はやはりキングカズであった。
結局、今日の3ゴールは全てJリーグ選抜サイドに納まり、それを間近で観れたことは僥倖である。
しかし、その後に我々の目前で繰り広げられたはずの「渾身のカズダンス!」は客席全体が飛び跳ねていたので、生で目撃する事が出来なかった。今日唯一の誤算である。
こうして、公式記録には残らない歴史的なゲームは感動のうちにタイムアップとなった。
リザルトは以下の通り。
これで「PROJECT NAGAI」の最後のミッションである、ゲームを心から堪能することは見事に完遂した。
そしてまた、カズがゲーム後のインタヴューで答えたように、これは始まりであり継続して支援活動を行わなければならないと思う。数か月、数年のスパンで事あるごとに支援が必要である。
今回の震災による試練は、たまたま自分の地域で発生したかっただけのことで、いつ当事者になってもおかしくない。その事を肝に銘じ、決して驕ることなく、決して気負うこともなく、日々慎ましく誠実に生きようと思う。
3月29日はサッカーファミリーの一員で良かったと強烈に印象付けられた忘れられない一日となった。
がんばろうニッポン!みんなのチカラがひとつになって。
「PROJECT NAGAI」 《完》