「監督としてのラモス瑠偉の功罪」についての考察、個人的には『罪』の側面は極めて限定的であると思いたい。確かに、J2最終順位が20位に低迷したチームの成績面では、今シーズンの登録選手のレベルとその投資規模を考えると、一般論としては、監督としての責任を追及されなければならない。
開幕当初の6連敗は、オフェンス陣のオーガナイズが希薄で、一瞬の気の緩みがそのまま大量失点に結び付く場面が多く見られた。例えば東京V戦4失点の時は、もう自分達でゲームのコントロールが出来ない状態だったろう。守備に対する戦略が全く機能していなかった時期である。
4月の終盤からは、攻守のバランスが徐々に取れ出して、一時的には上向きになるものの、多くの故障者を抱える状態が発生し、なかなか連勝へと繋げられなかった。
そんな中で、夏の補強では実績のある選手の獲得に成功して、更に上を目指す体制ができるかに思えたが、シーズン終盤に入ってから残留争いに巻き込まれると、1点を奪うのが精一杯のゲームが続き、辛うじてJ3降格圏内を回避するに留まる。
結果的に昨シーズンの17位を下回る20位という順位は、J2残留を果したと言えども、ラモス体制2年目でのチームの継続性の破綻や、底上げが段階的に行われていない状況を露呈することとなった。
監督として就任して2年目となったラモス監督、そのタレント性からギフの監督業以外に多方面に渡り活躍する場が与えられている。その事が全てマイナスではないのだろうが、監督として集中する時間が損なわれているとしたら、多少見直す必要があるのかもしれない。
その一方で、ラモス監督のカリスマ的なタレント性が、『功』の面で大きくクローズアップされる。それは、『罪』の部分を補って余りある程である。
瀕死の状態だったFC岐阜に数々の支援の手が差し伸べられ、グラブの体裁を安定させることができたあの時、そこに登場したラモス瑠偉の存在は大きく、その後、現在進行中の「クラブハウス」の建設や、長良川競技場のバックスタンドベンチ席増設などの一連の改修工事へと繋がった「FC岐阜支援」のムーヴメントや世論の盛り上がりは、恐らく「ラモス瑠偉」という存在が無かったら、ここまでトントン拍子には行かなかったのかもしれない。
今、「J1クラブライセンス」を取得している、そのきっかけの一人であるラモス監督の功績はやはり絶大である。
そして来シーズンは、ラモス監督の契約最終年と言われている。勿論、その後の再契約が無い訳ではないだろうが、まずはこの3年でそれなりの結果は欲しいものである。この2年間で越えられなかった壁を何とか打ち破って行きたい。
そして来シーズンは、ラモス監督の契約最終年と言われている。勿論、その後の再契約が無い訳ではないだろうが、まずはこの3年でそれなりの結果は欲しいものである。この2年間で越えられなかった壁を何とか打ち破って行きたい。
その為には、攻撃サッカーを標榜するラモス監督の意に沿わないかもしれないが、まずは1試合平均1.7失点(アウェイ戦では2.1失点)という、嘘のような失点数を重ねる守備陣形を何とかしなければならない。ここぞという時の失点が多くの勝ち点をみすみす逃してしまった。
独自集計した2015年度戦闘記録からも分かるように、既(すんで)の所で引き分けに持って行けない詰めの甘さがあったようだ。来シーズンこそは、その改善を優先しながらディフェンス主体のチームを仕上げる事はできないだろうか。負けない為のゲームプランもギフの様な発展途上のクラブには必要だろうと思う。
12月6日でJリーグの全日程が終了し、来シーズンのJ2参戦22クラブが確定した今、それぞれのクラブでは既に来シーズンに向けたチーム編成が始まっている。ギフは恩田氏から代わった宮田博之新社長の下、新たな発想を取り入れながら、ピッチレヴェルでは2年間の経験と反省を生かしたラモス采配により、上位進出を目指して巻き返しを図って貰いたい。
2016年 新・FC岐阜と共に